福林 徹・小林寛和 監修、山本利春 編集、発行日:2014年2月発行、4,500円+税、出版社:文光堂、ISBN978-4-8306-5181-6
①筋力・体力からみた競技特性
②運動生理学・エネルギー代謝からみた競技特性
③バイオメカニクス・動作からみた競技特性
④競技ルール・競技環境からみた競技特性
①総論
②長距離・マラソン
③短距離・ハードル
④投てき・跳躍
FURTHER READINGS
索 引
『Skill―Upリハビリテーション&リコンディショニング』シリーズの最終巻として,『競技種目特性からみたリハビリテーションとリコンディショニング』が発刊される運びとなりました.
スポーツ選手が最高のパフォーマンスを発揮するためには,選手の体力や技術をよりいっそう高め,急性的な外傷,慢性的な障害,疾病などに伴う影響をより少なくするためのアプローチが重要です.スポーツ医科学の研究成果をスポーツ選手の競技力向上,あるいは外傷・障害予防にかかわるスポーツ現場に活かすためには,スポーツ医科学的知識を踏まえたアプローチ,すなわちスポーツ医科学サポートが必要となります.
本書の主題である「競技種目特性」は,上記のスポーツ選手の医科学サポートにおいて不可欠な要素です.各疾患別リハビリテーション,コンディショニング,救急処置,測定評価,健康管理などのアプローチは,一般の場合と「スポーツ選手のための」あるいは「スポーツ現場における」場合とどこが違うのでしょうか? まさしくそれは,競技種目特性を踏まえたものであるか否かによると言っても過言ではありません.
たとえば,アスレティックリハビリテーションの期間内には,ドクターの医学的管理下の内容から徐々により競技動作に近いトレーニングヘ移行し,特に競技復帰直前の最終段階では,スポーツ現場の監督やコーチの管理に強く影響を受ける内容へと変わっていきます.その際,アスレティックトレーナーは,ドクターサイドとスポーツ現場の指導者サイドの両者の間に立ち,選手が安全で円滑に早期の競技復帰が進められるように,微調整をしながらプログラムを管理していきます.ドクターは通常の練習やリハビリテーショントレーニングの場に立ち会えないので,アスレティックトレーナーが選手のトレーニング中の自覚症状や動作観察などの機能評価を現場の指導者と情報交換しながら,最終的な競技復帰の可否に必要な情報を収集する必要があります.特に,復帰直前の最終段階では,競技者個々の身体特性や各競技の種目特性も考慮し,再発を予防しながらより負荷が高く,受傷リスクの高い動作へと段階的にトレーニングを行わせることが大切です.
本書は,この復帰直前の最終段階でのリハビリテーションや再発予防のためのリコンディショニングのアプローチに特化した情報を集約することを目的としております.おそらく,これまでの書物にはない,各競技におけるスポーツ医科学的アプローチに有効な情報を得ることができる内容であると確信しています.
本書がスポーツにかかわる多くの専門職の方々にとって,選手のリハビリテーションやリコンディショニングの実践にお役に立つことができれば幸いです.
平成26年2月
山本 利春