部分ひきしめチューブ・エクササイズ
山本利春、1996年8月30日発行、900円+税 リヨン社 ISBN 4-576-96102-0


前章 チューブ・エクササイズって何?
第1章 ウォーミングアップ編
第2章 あっと驚く くびれたウエスト編
第3章 パンツが似合うキリリとしたヒップを作る編
第4章 ぷよぷよモモをひきしめ、パンプスの似合う足首編
第5章 きれいなバストに変身編
第6章 たぷたぷ二の腕よ さようなら編
第7章 クーリングダウン(疲労回復)編
第8章 チューブ・エトセトラ編


はじめに

 「やせたい!」と願っている女性は、とても多いと思います。さまざまなダイエット方法が取り沙汰されましたし、ダイエット商品や「やせる薬」なるものまで登場しています。そのなかのいくつかを試してみた方もおられることでしょう。
 その結果はいかがでしたか?
 果たして何の苦労もなく、あっさりやせられる方法はあるのでしょうか。
 答えは、「ない」というのが正解でしょう。脂肪は無意味に人間の体についているわけではなく、服を脱ぐように気軽に捨てることはできないのです。
 でもこの本を手に取られた方は、むやみに細い体になりたいのではないと思います。大切なのは「やせること」ではなく、「ひきしまった美しい体を作ること」のはず。女性らしい魅力的な体型を維持しつつ、不必要な部分はひっこめていく。つまり「シェイプアップ」することを目的にしなければ、結局、目指す「美しい体」を手に入れることはできません。
 健康を保ち、あるいは増進させつつ、いらない脂肪をなくしていくには、やはり「運動することが一番の近道です。特に酸素を十分に取り入れながら動く有酸素運動を行なうのが、最も効果的でしょう。
 体を動かせば、体内の余分な脂肪は燃えます。血液の流れが活発になり、内臓の機能も向上します。筋力をきたえれば、疲れにくい体を作ることもできます。栄養素、特にカルシウムの吸収もよくなるのです。

 つまり、運動によって肥満、肩凝り、腰痛、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)など、女性の敵ともいえる体のトラブルを予防したり、改善していくことができるわけです。
 だからといって、急に激しいスポーツなどを行なうのはよくありません。たとえば、健康づくりの代表的な運動としてジョギングやエアロビクスなどがよく勧められています。これらの運動は体内に酸素をたくさん取りこみ、脂肪を効率よく燃やすといった観点からは効果的なのです。けれども、日ごろ運動の不足している人が急にこれらの運動を行なうと、筋肉や関節などに傷害が出る可能性があります。
 なぜならジョギングやエアロビクスダンスなどは、たいして激しい動きではないと思いがちですが、実は小さなジャンプ動作を繰り返し行なっているのです。これらのジャンプ動作の着地時には、下股の関節に体重の数倍もの負荷がかかるといわれています。ですから運動不足で筋力が衰えている人や、たくさんの脂肪の重りをかかえている人にとっても基本的な体づくりは大切なのです。
 健康づくりのべースを作ること。そして無理なく体をひきしめ、生活に張りを持たせる合理的エクササイズが今、求められているのです。
 健康的に美しくなる。しかも簡単に、楽しく、それを達成できたらどんなによいでしよう。
 そのために最近、チューブを使ったエクササイズが注目されはじめています。
 日本人初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんが宇宙船のなかで、チューブを使ったトレーニングをしていたことをご存知の方もおられるかもしれません。
 宇宙は無重力ですから、筋肉に負荷がかからず、なにもしないでいると筋力が低下してしまいます。放っておけば、地球に戻ってきたとき、立って歩けないほど衰えてしまうのです。
 それをきたえるために定期的にトレーニングをしなければならないのですが、ダンベルなどの持ち上げることで筋肉を使うものは、無重力の宇宙では意味がありません。そこで、重力がなくても筋肉に負荷がかけられ、狭い宇宙船内でも多様なトレーニングができるものとしてチューブが選ばれたようです。
 重力のあるこの地上で運動するためには、特にチューブに限る必要はありません。でも、宇宙船で取り入れられたということは、それだけチューブエクササイズが手軽で効果的である、ということのよい例なのだと思います。
 チューブを使ったエクササイズは、ゴムの弾力に逆らってひっぱる力によって、筋肉を収縮させます。筋肉は使うことによってきたえられます。また、運動のしかたによっては筋肉がひきしまるだけではなく、エネルギーとして余分な脂肪が燃やされるのです。
 筋肉ムキムキになるのはいや、と思われる方も多いでしょう。もちろん、そこまでがんばる必要はありません。自分の体に合わせて適度に行なってみてください。
 チューブ・エクササイズは継続して行なうほどその効果は大きくなります。場所や時間にこだわらず、いつでもどこでも気軽に続けてみてください。
 ぜひ、チューブでエクササイズを楽しみ、健康で美しい体を手に入れてください。

 平成8年7月

山本利春