公認アスレティックトレーナー専門科目テキスト(5)検査・測定と評価

日本体育協会 編、2007年発行

A.アスレティックトレーナーに必要な評価

@ アスレティックトレーナーによる評価の目的,意義および役割

1.評価に必要な基本能力
2.測定評価の企画・実践能力
3.測定評価の実技能力
4.測定評価データの解釈・活用能力
5.プレゼンテーションスキルとコミュニケーション能力

A 機能評価のプロセス

1.情報の収集・状況の掌握
2.検査・測定と評価の企画
3.検査・測定と評価の実施
4.検査・測定と評価の統合解釈
5.問題点のリストアップ
6.対応ゴールの設定
7.問題への対応手順の設定
8.問題点への対応プログラムの立案設定
9.効果判定

B 機能評価に必要な検査測定

1.HOPS における競技者に関する情報の収集
  a. history (問診)
  b. observation (視診)
  c. palpation (触診)
  d. special test (スペシャルテスト)

C 機能評価に基づくアスレティックリハビリテーションおよびコンディショニングの目標設定とプログラムの立案

1.外傷・障害を有する場合
  a. 医学的情報の収集
  b. 外傷・障害の機能評価と問題点の抽出
  c. アスレティックリハビリテーションおよびコンディショニングの目標設定
  d. アスレティックリハビリテーションおよびコンディショニングのプログラム立案
  e. アライメントからみたリハビリテーションデザイン
2.外傷・障害を有しない場合
  a. 競技特異性の分析
  b. フィジカル能力の階層性
  c. フィジカルテストでの評価
  d. 外傷・傷害予防のための評価と対応
  e. コンディショニングトレーニングのプログラミングの原則
  f. パフォーマンス改善のためのプログラミング

B.アスレティックトレーナーに必要な検査測定の方法

@ 姿勢・身体アライメント・筋萎縮の観察,計測の目的と意義およびその計測方法

1.姿勢を評価するときの基準となる標準姿勢について
  a. 基本肢位とは
  b. 運動の面と軸
  c. 姿勢をチェックする際の解剖学的な指標(ランドマーク)
  d. 静的姿勢を観察する
2.姿勢の観察とスポーッ活動における姿勢とは
  a. 不良な姿勢
  b. 不良な姿勢と動作の関係
  c. スポーツ活動における姿勢とは
  d. 不良な構えの姿勢(矢状面での観察)
  e. 不良な構えの姿勢(前額面での観察)
3.姿勢に影響を及ぼす要因(下肢アライメント)
  a. アライメントについて
  b. 下肢アライメント
4.筋萎縮の観察,計測の目的と意義およびその計測方法について
  a. 筋萎縮の観察
  b. 計測の目的と意義
  c. 周径について
  d. 下肢長について

A 関節弛緩性検査の目的と意義およびその検査方法

1.関節弛緩性とは
  a. 関節弛緩性の定義
  b. 関節弛緩性と関節動揺性・不安定性の違いは?
2.関節弛緩性検査の意義―関節は柔らかい方が良いのか
  a. 関節弛緩性とスポーツ外傷との関連性は?
  b. 関節弛緩性と性差
3.関節弛緩性検査の方法
4.関節弛緩性に対する対応策は
  a. 筋力強化エクササイズ
  b. 正しいアライメントや動作の習得
  c. テーピングや装具の使用
  d. その他

B 関節可動域測定の目的と意義およびその測定法

1.関節可動域測定の目的と意義
  a. 意義
  b. 目的
  c. 関節可動域の制限因子
2.関節可動域の測定法
  a. 測定方法
  b. 測定上の留意点
  c. 最終域感 end feel
  d. 測定結果の表示法
  e. 測定の手順
資料:関節可動域表示ならびに測定法

C 筋タイトネスの検査測定方法

1.筋柔軟性と筋タイトネス
2.筋柔軟性・筋タイトネスの検査測定の意義
3.筋タイトネスの検査測定方法
  a. タイトネステスト
  b. その他の方法
  c. 肩関節周囲の筋タイトネスについて

D 徒手筋力検査の目的と意義

1.徒手筋力検査の目的と意義
  a. 意義
  b. 目的
2.徒手筋力検査の概要
  a. 適用と検査の視点
  b. 判定基準
  c. 検査上の留意点
  d. 全体的な検査の手順として
3.検査結果の解釈

E 機器を用いた筋力,筋パワーおよび筋持久力の検査測定の目的と意義およびその検査測定方法

1.筋力評価の意義
2.筋力を決定する因子
3.筋力発揮の生理学
4.一般的な筋力測定法
  a. 握力測定,背筋力測定
  b. 運動能力テスト(パフォーマンステスト)の筋力評価への応用
  c. フリーウエイト,ウエイトマシーンを使った測定
5.機器による筋力評価
  a. 徒手筋力検査装置による測定
  b. 等速性運動装置による測定
  c. パワーの測定
  d. ウエイトマシンを使用した筋力評価
  e. フリーウエィトを使用した筋力評価

F 全身持久力の検査測定の目的と意義およびその具体的手法と測定指標

1.最大酸素摂取量( Vo2max )とは
  a. 測定方法
2.乳酸とは
  a. 乳酸値の測定
3.全身持久力の推定
  a. 最大心拍数による相対値
  b. 乳酸性から
  c. 最大酸素摂取量による相対値
  d. 自覚的運動強度

G 敏捷性および協調性の検査測定の目的と意義およびその具体的手法

1.敏捷性および協調性の定義
2.測定指標と測定意義
3.測定手法と測定上の注意点と解釈方法
  a. 全身反応時間テスト
  b. 選択反応時間テスト
  c. 立位ステッピングテスト
  d. ラダー(クイックラン)
  e. 反復横跳び
  f. 50m 走
  g. 10m × 5 シャトルラン
  h. ステップ 50
  i. 片脚閉眼立ちテスト
  j. Stability System ( Biodex 社製)
4.観察や計測した項目が身体的コンディショニングや動作および病態へ与える影響

H 身体組成の検査測定の目的と意義およびその具体的手法

1.身体組成の歴史
2.身体組成の要素
3.BMI ( Body Mass Index )
4.体脂肪が身体に及ぼす影響
  a. 競技者と体脂肪
  b. 外傷・障害と体脂肪
  c. 女性と体脂肪
5.測定方法とその解説および測定上の注意
  a. インピーダンス法
  b. 身体密度法
  c. 皮下脂肪厚(キャリパー)法

I 一般的な体力測定の検査項目とその目的と概要

1.体力測定(総論)
2.一般青年,成人を対象として(体力測定実施における留意点)
  a. 体力測定における目的と内容設定
  b. 測定結果のフィードバック
  c. フィードバックの工夫
  d. スポーツ傷害予防のための測定・評価
  e. 新人競技者のための体力測定

3.少年を対象として
  a. 福岡県立スポーツ科学情報センターにおける測定事業
  b. 福岡県タレント発掘事業
4.中・高齢者を対象として
  a. 中・高齢者の体力測定の目的
  b. 高齢者を知ろう―体力テストの前に―
  c. テストバッテリー(組テスト)構成の重要性
  d. (中・)高齢者における体力測定背景
  e. テストバッテリーの組み方
  f. 体力テストのマネージメント
  g. 個別の体力評価

C.スポーツ動作の観察と分析

@ 評価におけるスポーツ動作の観察・分析の目的と意義

A 歩行のバイオメカニクス

1.歩行周期
  a. 歩行周期の記述
  b. 歩行周期の割合
2.歩行の運動学(キネマティクス)
  a. 歩行の距離パラメータ
  b. 歩行の時問パラメータ
  c. 重心の変化
  d. 関節角度変化
  e. 筋電図活動
  f. 歩行の運動力学(キネティクス)

B 歩行動作に影響する要因

1.歩行のパラメータに影響する要因
  a. 体格
  b. 年齢
  c. 歩行速度
2.歩行に必要な身体機能
  a. 関節可動域
  b. 歩行で生じる関節モーメントと随意最大筋力との比較
3.運動連鎖
  a. 歩行時の足尖方向による関節間運動の相互関係
4.競技者にもみられうる代表的異常歩行
  a. 反張膝と二重膝運動の消失(ロッキング)
  b. 股関節内転過多
  c. 股関節屈曲過多
5.スポーツ傷害と歩行の特徴
  a. 膝前十字靭帯( ACL ) 不全
  b. 足関節内反捻挫

C 走動作のバイオメカニクス

1.走動作の位相
2.走動作と歩行動作との違い
3.床反力
4.下肢の関節運動
5.走動作に必要な関節可動域
6.腕振り
7.筋活動
8.スプリント走の特徴
9.走速度の規定要因

D 走動作に影響を与える機能的,体力要因

1.下肢のアライメント
  a. スタティックアライメント
  b. ダイナミックアライメント
2.前方推進力を得るための代償運動
3.骨盤
4.腕振り
5.走路の傾斜・コーナー走によるアライメントの変化
6.靴底の磨耗によるアライメントの変化

E 外傷の発生機転となるような走動作の特徴とメカニズム

1.肉ばなれ
2.腸脛靭帯炎
3.膝蓋靭帯炎
4.シンスプリント
5.アキレス腱炎・周囲炎
6.足底腱膜炎
7.腰痛症

F ストップ・方向転換動作のバイオメカニクス

1.減速動作のバイオメカニクス
2.方向転換動作のバイオメカニクス
  a. サッカーにおける移動と方向転換
  b. バスケットボールにおける方向転換の種類

G ストップ・方向転換動作に影響を与える機能的,体力的要因

1.股関節・体幹機能の影響
2.足部のマルアライメント影響
3.ストップ動作と姿勢
4.方向転換と姿勢

H 外傷・障害の発生機転となるようなストップ・方向転換動作の特徴とメカニズム

I 跳動作のバイオメカニクス

1.跳躍の定義
2.踏切において身体にかかる外力
3.跳躍動作の基本である垂直跳び
4.跳躍時における筋健複合体のふるまい

J 跳躍動作に影響を与える機能的,体力的要因

1.跳躍における stretch shortening cycle の有効性
2.各種跳躍パフォーマンスと,その機能的および体力的要因
  a. 走高跳に影響を与える機能的および体力的要因
  b. 走幅跳に影響を与える機能的および体力的要因

K 外傷の発症機転となるような跳動作の特徴とメカニズム

1.跳躍において生じやすい外傷
2.形態的要因
  a. マルアライメントと傷害との関係
  b. knee - in toe - out
  c. 足底アーチの低下
3.技術的要因
  a. 走幅跳におけるハムストリングスの肉ばなれ
  b. 走高跳における足関節外反捻挫
  c. 空中におけるボディバランスの重要性
4.体力的要因
  a. 筋力不足および筋力のアンバランス
  b. オーバーユース症候群

L 投動作のバイオメカニクス

1.投球の位相
2.位相ごとの各関節運動
  a. 肩関節・肩甲帯
  b. 肘関節
  c. 体幹・股関節

M 投動作に影響を与える機能的,体力的要因

1.ワインドアップ期
2.早期コッキング期
3.後期コッキング期
4.加速期
5.フォロースルー期

N 外傷の発生機転となる投動作の特徴とメカニズム

1.症例呈示
2.投球障害を呈しやすい投球動作の代表例
  a. 肘の下がった投球動作
  b. 肘を突き出した投球動作
  c. 体が開いた投球動作
  d. ステップ脚に体重が乗らない投球動作

O あたり動作のバイオメカニクス

1.剛体衝突の力学
2.人体の衝突
  a. 体幹固定
  b. 低重心
  c. へッドアップ
  d. 上肢固定
3.押し動作
  a. 備え
  b. 低重心
  c. 推進力
  d. 体幹固定
  e. 上肢固定
  f. 押しの方向
4.あたりによる外傷発生
  a. 打撲と衝撃吸収
  b. 関節による衝撃吸収

P あたり動作に影響を与える機能的,体力的要因

1.身体的要因
  a. 体重
  b. 身長
2.体力的要因
  a. 瞬発力
  b. 筋量・筋力
  c. 持久力
3.技術的要因
  a. 関節・体幹の固定
  b. フォーム
  c. タイミング

Q 外傷の発生機転となるようなあたり動作の特徴とメカニズム

1.頭部
2.頚部
3.腰部
4.肩関節
5.鎖骨
6.膝関節
7.足関節


赤字は山本担当分。